お知らせ
平成31年度お知らせ
平成30年度の渓流~親魚放流について~
2019-02-22
平成30年度の渓流シーズン終了後に、那珂川北部漁協管内の主要な渓流区域にて当漁協では初めての試みとしてヤマメの親魚放流を行いました。
親魚放流とは、岐阜県の水産研究所にて確立されたもので、『河川において自然産卵させることを目的に完全に成熟した養殖魚を放流する方法』です。
親魚放流では、受精時から川で生育するため、卵や仔魚の生育速度が野生魚に近くなり、野生魚と同様に、好適な水温や餌条件の時にふ化・浮上させることが出来る。また、秋口の禁漁期に実施するため、放流後の親魚が漁獲されるおそれがない。などの長所があります。
その一方で、親魚1尾の損耗(密漁や鳥による食害)でも増殖効率が著しく低下したり、産卵の適地がない河川では放流しても効果が望めない。などの短所もあります。
これまでのヤマメの増殖の手段としては、
・発眼卵埋設放流
・稚魚放流
上記の2つが主な方法でしたが、近年親魚放流という新しい手法も出てきました。栃木県内でも3つの漁協で実施したことがあります。
しかし、親魚放流を行おうとすると前提としてヤマメの親を確保しなければならず、今まで入手が困難だったため当漁協では実施することが出来ませんでした。
そこで着目したのが、当漁協にあるここ数年使われていなかった養殖池を使用しヤマメを育てることが出来ないか。ということで始まったのがヤマメの試験飼育となります。
この親魚放流には、『雌雄両方の親魚を放流する方法』と『雌親魚のみを放流する方法』の2通りがあり、今回当漁協では雌雄両方の親魚を放流する方法をとりました。
試験の内容としては、
漁協にある池に流れ込んでいる湧水を利用し、ヤマメを飼育することが出来ないか。
入手が難しい親魚の養殖が出来ないか。
この2つを主な目標として行いました。
昨年度は、平成29年の12月下旬頃より稚魚を10,000尾購入し池に導入を行いました。その後順調に生育し、4月頃より河川に成魚を放流する事も出来ました。
ヤマメの試験飼育にあたり、栃木県水産試験場、関係各位にご指導を頂きました。
今回の1番気掛かりだったのが夏の時期の水温でしたが、無事に乗り切り秋口まで飼育することが出来て、卵を持った親魚を養殖することに成功しました。
この親魚は、9月20日に池から取り上げた後に
・那珂川 板室温泉前 260尾
油井 60尾
フィッシュランド前 50尾
鳥の目キャンプ場前 50尾
上黒磯 50尾
・木の俣川 木の俣橋上 230尾
・矢沢 矢沢 30尾
上記の河川へと放流を行いました。放流数量は、730尾となります。この中で木俣川では 10月頃にペアリングを行い、産卵床を作成する所まで確認できております。
今回の放流にあたっては、親魚を取り上げる前に活魚トラックへ河川水を汲んで置き、放流場所までの輸送している中で水温を慣らすという事も行いました。
この結果を踏まえて、今年(平成31年度)も稚魚を導入し親魚放流を行う計画をしております。親魚を養殖するにあたっては卵の状態も大きく影響するということです。
その為、今年は卵の状態も良くなるように飼育を行っていこうと思っています。
また、今回は雌雄両方の親魚を放流しましたが、今年は雌親魚のみを放流する方法にもチャレンジしていこうと思っています。加えて今年よりも良い条件が整った産卵場所を探すという課題も出てきましたので、水産試験場との連携を図りながら進めていきたいと思います。